- Vol.1 グループ大での知見・ノウハウの共有とプラットフォーム化
- Vol.2 業務プロセスのホワイトボックス化によるリスク管理と業務への活用
- Vol.3 ナレッジのデータベース化
- Vol.4 新旧システムおよび組織の相違点
- Vol.5 他社のDXアプローチ(CoEの役割と人材育成)①
- Vol.6 他社のDXアプローチ(CoEの役割と人材育成)②
- Vol.7 DXの成功に向けて①
- Vol.8 DXの成功に向けて②
分析モデル構築の要素
分析モデルのパラメータには、その分析対象によってさまざまな要素があります。
例えば、昨年の秋以降のロシアによるウクライナへの軍事進攻などの事象が起きると、それらのパラメータがこれまでとは非連続な状況になります。
ある時点で、精度の高い分析モデルを構築できたとしても、既出のロシアによるウクライナへの軍事侵攻やコロナの感染拡大などの事象発生により、分析モデルにインプットする情報が変化します。
どのようにこれらの影響をモデルに取り入れていくべきかについては、慎重な検討が必要といえるでしょう。案件の性質によってはVaR(Value at Risk/予想最大損失額)を見るなどの工夫をしますが、そもそも数値的なリスク管理がどこまで有効なのかを含め、今後も試行錯誤を進めていく必要があります。
現在の状況を考えると、過去のデータを分析するだけでなく、新たな手法を考えていくべき重要なタイミングであると言えるでしょう。
分析モデル構築に際しては、何が結果やリスクに大きな影響を与えているのを仮説に基づいて検証しながら、採用する特徴量を決めていくことになります。
したがって、状況に応じて仮説を増やしていくことになります。この点については、データサイエンスを担務するTCAが単独で実施するのではなく、業務を主管する方々の業務知見とセットで実施していく必要があります。
このように仮説を立て、検証して精度を上げていくことには労力がかかりますが、その労力を上回る価値を産み出すことが期待されます。
データ分析の業務への活用
TCAが担当するデータ分析では予測値をホワイトボックス化しており、どのようなデータを用いてどのような想定をしているかを確認できます。そのため、分析対象を取り巻く状況が変わった際に、柔軟にロジックなどを変えていくことができます。同時に数値の根拠を説明できるため、予測の信頼度を整理することでリスクを算出することができます。
業務主管部署は、何かを判断する際に数値的な予測結果だけを見て意思決定をしているわけではありません。データ分析によって予測を算出するだけではなく、予測などによって得られるこれまでにない視点を取り入れながら業務プロセスそのものを変革することも必要です。
業務プロセスの変革を促すシュミレーションツールの構築には、必然的にBPR(Business Process Re-engineering/業務改革)が伴いますので、これらの取り組みは従来の業務との摺合せを行いながら丁寧に進めていく必要があると言えるでしょう。
業務の種類や性質によって、足元だけでなくもう少し長いレンジでさまざまな想定を行う必要がでてくることがあります。
想定のレンジが長くなるほど、精度の高い想定が困難となってきます。なぜなら、長期の想定では短期とは別の要素が必要であり、既出のロシアによるウクライナへの軍事侵攻のようなものまでを前もって想定に織込むのは困難だからです。
ただし、想定に影響を与えうる事象の兆候が見えたときに、どのような対応をしていくのかについてのシミュレーションは可能です。
分析モデルはリスク管理的には万能ではないということを理解し、分析結果ではない部分でもリスクを把握していくことが必要であると言えます。つまり、分析モデルを数あるリスク対応ツールの一つとして見ていくというスタンスが大切です。
Vol .3 ナレッジのデータベース化 に続きます。
- Vol.1 グループ大での知見・ノウハウの共有とプラットフォーム化
- Vol.2 業務プロセスのホワイトボックス化によるリスク管理と業務への活用
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- Vol.5 他社のDXアプローチ(CoEの役割と人材育成)①
- Vol.6 他社のDXアプローチ(CoEの役割と人材育成)②
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