第三回アドバイザリーボード
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- 日時
- 2021/11/19(金)15:00〜17:00
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- 場所
- TSUNAGU Community Analytics(TCA)執務室内
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- 参加者
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- アクセンチュア(ACN)
- ◇ 五十嵐:取締役副社長
- ◇ 竹 井:執行役員 素材・エネルギー本部 統括本部長
- ◇ 保 科:ビジネスコンサルティング本部 AIグループ日本統括 マネージング・ディレクター
- ◇ 渡 邊:素材・エネルギー本部 マネージング・ディレクター
- ◇ 村 上:ビジネスコンサルティング本部 テクノロジーストラテジー&アドバイザリーグループ日本統括 マネジング・ディレクター
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- 中部電力(CE)
- ◇ 増 田:副社長執行役員 事業創造本部長
- ◇ 伊 藤:専務執行役員 経営戦略本部長 CIO
- ◇ 内 田:ITシステムセンター長
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- TCA
- ◇ 野 田:代表取締役社長(中部電力 執行役員 事業創造本部 副本部長)
- ◇ 栗 林:取締役(中部電力 事業創造本部 データプラットフォームユニット長)
- ◇ 野 村:取締役(中電シーティーアイ 取締役 専務執行役員)
- ◇ 小 林:企画ユニット長
- ◇ 西 浦:ストラテジー&コンサルティングユニット長
- ◇ 十 倍:データサイエンスユニット長
第三回のアジェンダは、TCAとして注力する案件の方向性と個別事例の振返りです。
冒頭でTCAの状況や事例、課題を共有し、改善に関するディスカッションをおこなっています。
- TCA野 田
- これまでさまざまな案件に取り組んできました。その中で見えてきた課題を紹介しつつ、来年に向けたTCAとしての取り組みの方向性について議論できればと思います。
- TCA西 浦
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本日は2つのテーマでディスカッションを実施したいと思います。
一つ目は、22年度にTCAとして注力する3つの取り組み、
二つ目は、TCAが21年度に取り組んだ案件事例のご紹介です。これらについてアドバイスをいただくとともに、今後に向けたディスカッションをできればと思います。
TCAとして注力する3つの取り組み
- TCA西 浦
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最初のテーマは、22年度にTCAとして注力する3つの取り組みについてです。
①中部電力グループのコア案件
②人材の採用・育成
③TCAの経験値を積む・価値を向上させる新規案件
まず、①中部電力グループのコア案件についてご説明します。
現在、おおよそ20件強の案件を実施中で、事前調整中の案件も複数あります。
単独フェーズで終わるのではなく、継続で取り組んでいる案件も多く、来年まで引き続き支援が予定されているものもあります。延べ案件数では、相当数をこなしている状況です。
このような状況下、社員に加え、委託先のメンバーを含め計25名弱の少人数の体制で実施させていただいています。顧客の皆さまからは、TCAはデータ分析にかかるツールの作成のみならず、業務を理解し踏み込んで検討してくれるという評価をいただいています。
案件が増加する中で、現在の体制で実施できる範囲も限られており、なるべくDX(デジタルトランスフォーメーション)の核となるテーマに注力させていただきたいと考えています。
具体的には、電力の需給に関連する中部電力グループの中にノウハウを蓄積しなければならないようなテーマです。そして、中部電力の経営戦略本部として横串を刺していきたいと考えておられる案件が対象になってくると思います。
主管部にもデータ活用に関する一定程度のケイパビリティ(capability/能力)を保有いただくことで主管部独自の案件についてはTCAの関与率を下げ、中部電力グループとしてノウハウの蓄積が必要なテーマや、会社大でのデータ活用を推進したいテーマに注力したいと思っています。
次は、②人材の採用・育成です。人材の採用・育成には相応のコストがかかるため、そこに向けた原資をしっかり確保する必要があります。今年は、TCAのパフォーマンスを示すために一つ一つの案件をしっかり取り組むことに力を注いできたため、人材への投資が困難でした。
人材の採用や育成に向け、原資も確保しつつ社会的意義のある仕事ができる会社という期待を持っていただける取り組みを実施していく必要があります。また、インターンシップの受入れなど、次代を担う人材を育成する取り組みは継続していきたいと考えています。
最後に、③TCAの経験値を積む・価値を向上させる新規案件です。TCA自体のケイパビリティ向上や業務領域拡大に向けた、企業価値を向上させるような新規案件もやっていきたいと思っております。
②の人財の採用・育成と重なってくる部分もありますが、対外的にアピールできる取り組みという意味で、中部電力の事業創造本部が手掛けるTSUNAGU Community Farm(TCF)のレタス工場の植物の生産・育成におけるデータ活用や、衛星データの活用といった取り組みも進めていきたいと考えております。
こうした取り組みにより、中部電力グループ内でのポジションを確立するとともに、株主である中部電力グループに成果を還元できるよう、精進する所存です。
- TCA野 田
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中でもやはり、①中部電力グループのコアとなる案件に注力していきたいと思っています。ただ、現時点で手掛ける案件が多く、目一杯の状態で業務を実施していることから、厳しい状況であることは事実です。人材を採用していかないと業務をこなせない状況になるでしょう。
実際に、業務を発注いただく時期をずらしてもらうといった事象も出てきています。人材の不足については社外への委託によって補っている部分もあります。この地域の人材を育成・採用していくこともTCAの目的であるため、対応の必要性をひしひしと感じているところです。
また、優秀な人材に興味を持ってもらうためには、面白い案件にも取り組む必要があり、課題でもあると捉えています。これらについて、対応の方向性や知恵などアドバイスいただければと思います。
- CE 増 田
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ACNにも助力いただきながら、会社が本格的に稼働し始めている印象です。時期的に来年度の計画を策定し始める中で、振り返りと将来像の共有ができればと思います。
①中部電力グループのコアとなるDX案件とありますが、コアというのがどのような意味を持つのかは人によって違うと考えます。
電力需給に関連する案件というのは、従来からあるビジネスにおいてコアとなるということです。従来ビジネスが市場を中心に回り始めているので、その部分についてデータを蓄積することで予想をするということであり、これはこれで当然必要なものだと考えます。
他方で、まだ現場の意識がそこに至ってないかもしれない中においても、DX型のビジネスモデルを作っていかなければならないとも思っています。TCAの視点から、どういったビジネスモデルにシフトすべきかを提案していただけるとよいと思います。
端的に言うと、お客さまと接する会社が保有するデータの分析をしっかりとすることによって、新しいビジネス領域に進出するチャンスが見えてきます。
そこに取り組むことで、どこにリソースを集中的に投入すれば新しいビジネスが展開できるかというのが見えてくるはずです。それがDXを活用したビジネスモデルの拡大や転換であり、グループ全体を見た時に取り組むべきことではないかと思います。
TCAとして、そのような部分に関してアドバイスや提案を実施する必要があるのではないかと思っています。
現場から出てくるニーズは、どうしても従来のビジネスモデルの延長線上になることが多いので、TCAから見て、どのような形でビジネスを変革するかについて、もう少し積極的な動きをしてもよいと考えます。
②の人材の採用・育成については、学生のインターンなども来ていただけるよう少しずつ話を始めています。中部電力の事業創造本部でも、地域の大学の教授にPRしながら関係を強化しつつあります。TCAを使って、勉強だけではなくビジネスができる人材を育てましょうという話を常にしているため、産官学の連携も進められればと思います。
③TCAの経験値を積む・価値を向上させる新規案件の関連で、TCFはデータを蓄積し自動化することで効率的に生産を行うというまさにDX型のビジネスモデルであり、TCAの業務高度化の中でノウハウを持ち得る話です。そのような新しい領域にも注力するとよいと思います。事業領域と外販を拡げるという両方の意味があるので、しっかりと進めていただきたいです。
- CE 伊 藤
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来月、中部電力として「DXへの取り組み」を公表します。TCAの取り組みがDXの最上位に位置しますが、それだけではなくデジタイゼーション(Digitization/デジタル化)やデジタライゼーション(Digitalization/デジタル技術を用いた変革を目指す取り組み)を含む内容となっています。
TCAが取り組む案件を見ると、やはり従来課題への対応が多いです。それはそれで今まで見えなかったものが見えてくる可能性はあるものの、本当に実施してもらいたいのは新規ビジネスに近いところです。
今まで手を付けていない部分に取り組む必要がありますが、何をしてよいのかについての気づきが足りないと感じています。ただデータを分析するだけではなく、世の中の事例など、想像力を膨らませるような教育の必要性を感じ、中部電力グループとしても学んでいかなければならないと思っています。
採用については、人材戦略についてテーマ立てをして検討をスタートしています。事業創造本部をはじめ、中途採用でたくさんの人材に入社いただいていますが、事業領域が拡大する中で、人材だけではなくさまざまな仕組みを変えていかねばらないということです。
その最たるものがDX系の人材であり、我々の人事システムや制度など変える取り組みを実施しています。TCAは人材獲得が喫緊の課題ということなので独自に進めればよいとは思いますが、継続的に人を増やしていこうとすると中部電力本体の人事の仕組みとの整理が必要となってくると思います。
- TCA野 田
- ACNから見て、人材の観点からTCAの魅力を伝えるためにどのようなアクションをするのがよいか、他社事例などを含め教えていただければと思います。
- ACN保 科
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人材の採用・育成については私も非常に苦労しており、人材が集まる案件や育つ案件という観点をすごく気にしています。
優秀なデータサイエンティストが興味を持つ内容には共通する部分があります。それは、社会課題にアプローチするところです。すぐビジネスになる案件かどうかは一旦置いておき、私自身も、例えばヘルスケアやESGといったテーマに取り組んでいます。
実際に優秀な人材がそれに惹かれてやってきていますし、生きがいを持って取り組んでいます。TCAですと地域の課題に取り組むというのが会社のミッションに入ると思います。そういった案件は公開されると拡散しやすく、興味喚起につながるため、PRとしては非常によいと思います。
- TCA野 田
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インターンシップの話がありましたが、現時点で2名の学生に来ていただくことになっており、若い力も活用していこうと考えています。
いろいろ示唆をいただいたので、肝に銘じてしっかりと取り組みたいです。提案という意味では、データの部分だけではなくコンサルティング能力の拡充も課題の一つです。
コンサルティングをしないと、しっかりとしたテーマ立てができない例が見受けられ、その際の反省点や課題点を我々なりに持っています。この後、事例として紹介させていただきます。