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第二回 Vol.2 TCA推進案件の状況と課題(2)

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第二回のアジェンダは、AI導入によるDX推進の仕掛けと人材育成について。
TCA推進案件の状況と課題(1)<アドバイザリーボードVol.1> の続きです。

TCA推進案件事例③:視点の高度化による効果拡大

TCA西 浦
TCAで推進している案件の中から見えてきた個別の課題を5つご紹介しています。

3つめは視点の高度化による効果拡大についてです。

TCAに相談いただいた案件についてニーズを深掘りすることで、より効果を拡大できるテーマへ進化できることもあります。
本事例について、当初のTCAへの依頼は「資材の発注誤差を押さえたい」という単一商材のオペレーション最適化の話でした。しかし目的・成果を明確にすることで「資材の発注単価抑制による資材調達の高度化」という事業課題に直結する効果創出に繋がりました。案件を推進する際には目的まで遡って効果を確認する必要性を感じています。

ユーザーからの依頼に対し、TCAとしてアウトプットは出しますが、その裏側にある本来の目的を解きほぐしながら進めています。
CE 伊 藤
まさにその通りの問題がよく起こります。実務を担当する人になるほど身近な問題を捉えに行くようになりがちなので、上長のコントロールが重要になってきます。

TCA推進案件事例④:データサイエンスの業務適用

TCA西 浦
4つ目はデータサイエンスの業務適用についての事例です。

とある業務領域の最適化に向けデータサイエンスを用いて業務を再構築することでリスクを加味しても業務量/設備を大幅に削減できることを証明しました。効果としては非常に大きなものですが、本データサイエンスの結果を単純に業務適用すると過去の実績を否定することにもなりかねず、「数字を一人歩きさせることが怖い」という意見がワーキンググループの参加者から出ました。

データサイエンスの業務適用に向けた意識は一朝一夕で変わるものではありません。実際に業務をされている方にデータ分析の結果が信頼できるものだと安心感を持っていただくこと、そして業務を変革するモチベーションを持ってもらうことが重要になってきます。
CE 増 田
この事例は、調査や分析を、社内での説明のための根拠づけ程度にしか使ってこなかった会社の文化によるところもあります。

都合の悪いデータには目を向けず、自らの説明に供するものだけを使用する。そういう意味では、データドリブン(データを収集・分析し、課題に対して判断・意思決定を行うこと)に対する信頼度を向上していくことを考えていかなければなりません。

データドリブンが100%正しい答えを導出できるわけではないですが、少なくとも業務の精度を上げることは可能であり、それが働き方・企業文化改革に繋がります。

それがDXの一つの柱であり、企業文化を変えて人材を育てることで、初めてデータ活用のビジネスが出来上がっていきます。
CE 伊 藤
顧客のニーズに対応するため、シミュレーションには現れない要素を考慮しないといけないという現実もあります。特に設備構成については、多少の変化には対応できるというロバスト性という観点が求められます。そういった観点も踏まえた時にどのような解が導き出されるのか、という説明が必要です。

データから見る単純な最適解と現場の考える最適解が常に一致するとは限らないため、うまく融合を図ることが必要です。

TCA推進案件事例⑤:業務変革への本気度

TCA西 浦
最後に業務変革への本気度が問われる事例です。

業務変革を実行するためには、既存業務を行っている社員を企画業務に当てていく必要があります。そこで、要員の最適配置をするための分析を行いたいという目的で声がけいただきました。
このような案件では、コア業務の定義や、自社で内製化すべきものとアウトソースできるものの峻別をまず提案しますが、うまく答えを見出せないことがしばしば起こり、今回の件でも同様でした。

配置の無駄を洗い出して配置転換したいという要望はよく聞きますが、経験上、配置転換で即戦力化できる人は僅少であり、教育できる環境を作らねばなりません。人材ロードマップを描き、ある程度の尤度(もっともらしさ)をもって教育することが必要という話もさせていただきました。

現在の業務と将来の業務のギャップを埋めるためには、人材と仕組みの両面が必要ですが、人材の話は人材ロードマップにおける採用・育成・評価の中で、評価よりも更に基礎の部分となる話です。無駄を洗い出して可視化したとしても、その改善した無駄をどのように活用するのかのビジョンがなければ取組みが進まないと考えます。何のために無駄を洗い出して改善するのかという明確な目的を設定したうえで設計しなければならなりませんし、それを実践していくという業務変革への覚悟がないと意味がなくなってしまいます。
TCA野 田
こちらの話は、データ分析を切り口としていますが、結果として人材コンサルのような話になってしまっています。

TCAとして、どこまでのお話をさせていただけばよいのかが悩ましいです。要員数の分析と言いますが、根本をたどると人材コンサルとなってしまっているという事例です。
CE 増 田
この事例は、通常の業務分析をやっているだけのことです。DXと言えるかといえばそうではありません。

その結果をもって、当該部門がどのような施策を取るのかはTCAではない会社で対応するしかないでしょう。ニーズとして存在することは確かなので対応しなければならないですが、TCAの業務との切り分けは必要です。
CE 伊 藤
こちらについては、仕事や要員のスキルが管理できていないという問題もあります。働く側も仕事の量や質の分類が全く分析できておらず、TPS(トヨタ生産方式、Toyota Production System)の取組みでも同様の指摘を受けています。個々人が労働時間を何に使ったのかが見えていないのです。

現状の仕事の分類と保有する人材のスキル、それらのマッチング、またミスマッチがある場合にはその差をどのように埋めるかを考える必要があります。同時に、システムや労務管理など、さまざまな問題を並行的に取り組む必要があると考えています。
TCA西 浦
いろいろご意見をいただき、TCAが感じている課題感と中部電力の経営陣が感じている課題感に大きな齟齬がないことが確認できたのは良かったです。DXを企画し実際に業務に落とし込み広げる活動をする中で、DXを推進したいという志を持った方々が相当数いらっしゃることが分かりました。

しかし、相談先や壁打ち相手がいない、知見がないという理由で停滞しまっているという事例も少なくありません。
また、案件の共通化により経営側で管理しなければならない事案もあります。

ここからさらに変革を強力に推進していくための話については、第2アジェンダに移り議論できればと思っています。
Vol .3 AI導入・拡大の成否を決める要素 に続きます。